転職や就職のエントリーシート(ES)では自らの短所を書くことが多くなります。「短所って自分から弱点を言うみたいで書きにくい」と悩むことも多いと思います。
しかし、短所はただ減点されるだけの項目ではありません。逆に「どのように短所を克服しようとしているか」という部分を評価してもらうチャンスです。
Twitterで行っている個別相談企画でも短所についての質問は多く、皆さん迷っている部分です。添削を行っている中で気づいたポイントも盛り込んで解説していきます。
この記事では以下の事が分かります。
- 短所で加点を稼ぐための方法
- 自分の過去のエピソードから短所を探し出す方法
- 短所の記入欄で実際にどのように書けばいいかの実例
短所を書きにくいと思っている方も加点を狙えるように、短所の探し方や例文を手厚く解説していますので、ぜひご覧ください。
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短所を書く目的と注意点 ただ書くだけでは企業の評価は下がる!
短所を書くということは、自分の弱点をさらけ出すのでそのまま書くだけでは、ただ採用担当者の評価が下がって終わってしまいます。短所を書く時には企業が何を期待しているのか、注意すべきことは何かを知ることが重要です。
エントリーシートにおける短所を書くことの目的
エントリーシートには、自己PRや強みのアピールが必要ですが、自己PRだけでなく自己分析に基づいた短所も伝えることが求められます。
自己分析ができる人や改善するために行動を起こせる人が、企業にとって価値が高いとされることがあります。つまり企業は、短所を書かせることによって、以下の3点の要素を見ています。
- 短所にも目を向けて、自己分析できているかどうか
- 短所を改善しようとする意識があるか
- 実際に改善のために行動することができるか
短所を書く際にはこの3点を外さないように意識すれば、ワンランク上の選考書類になっていきます!
短所を選ぶ際の注意点
転職の際に短所を自己分析することはとても重要です。しかし、選ぶ短所によっては、企業からの印象が悪くなる場合もあります。以下に、短所を選ぶ際の注意点は以下の2点です。
仕事に関係する短所を選ぶこと
短所を書く際は、自分自身が把握している仕事に関する短所を選ぶことが重要です。例えば、データの分析が苦手だというような具体的な短所を挙げることができます。こういった具体的な短所を挙げることで、自分の弱点を認めることができ、またその改善策を考えることができます。
「苦手な食べ物が多い」という短所は仕事においては評価しづらいため、企業の意図とは、ずれてしまいます。
改善策が思いつかないor改善する気がない短所は書かない。
短所は改善と一緒にセットで書かなければなりません。改善策が思いつかなかったり、改善するために行動する気がないものを書いてしまうと、企業の評価を下げてしまう場合があります。
例えば、朝起きるのが弱いという短所で、改善策が思いつかなかったり、「まあ別に朝弱くてもなんとかなるでしょ!」という気持ちでいるなら、書かない方が良いです。
エントリーシートの短所で加点してもらう書き方のポイント
エントリーシート(ES)では「短所を200文字以内で説明してください」などの質問文に出会うことがあると思います。そういった時に実際にどのように書けばいいかを解説します。
一見デメリットだけのように見える短所ですが、実は加点を狙うことができます。「悪いところが見えないようにしよう」と少ない文量で済ますのではなく、しっかり加点を稼ぐ意識を持ちましょう。
短所を書く時の構成 結論ファーストが有効
短所に限らずですが、文章を書く時には構成を考えてから書き出しましょう。短所は基本的には短めの文字数が設定されがちですので、結論ファーストで端的にまとめる必要があります。
短い時間または文字数で端的に内容を伝える時に効果的な手法。文頭に結論を持ってくることで「ああ、この人は今からこのことについて話すんだな」と相手が準備することができるので、内容も頭に入りやすくなります。
「結論→エピソード→結果」基本的にこの3段階で書くことが有効です。短所を細かく紹介することよりも、その短所にどのように対処したかに重点を置いて書きましょう。
短所を書く時は予防線を張りすぎない
短所を書くのはどうしても怖いので、予防線を張りがちです。ですが、あまりに予防線を張ってしまうと、「自分は悪くないのに!」「十分気を付けていたのに運が悪かったから」と言い訳をしているだけのように取られてしまいます。失敗は失敗として受け入れて、その上で対策をしたんだという姿勢を示すことが大切です。
私の短所はケアレスミスが多いことです。ケアレスミスをしないよう確認をしたり、読み上げたりと対策をしているのですが、どうしてもミスをしてしまいます。アルバイトで商品を発注することがあり、その際も何度も確認し、表示を確認したり店長に確認をしましたが、結果的に多すぎる発注をしてしまいました。現在はもっと注意を払うように努めております。
なんとなく「自分はやるべきことはやっていたのに!」という声が聞こえそうですよね。「店長にまで見てもらったのに、店長も見落とした」と言いたいように聞こえてしまい、あまり良い印象とは言えません。
私の短所はケアレスミスが多いことです。アルバイトの発注業務で立て続けに多すぎる発注をしてしまうことがあり、ひどく落ち込むことがありました。それ以来、発注内容を声に出して確認したり、店長に確認を取るようにしたりと改善をした結果、ミスを減らすことができました。それでもミスは完全にはなくなりませんので、今後もさまざまな工夫をしながらミスゼロを目指していきたいと考えております。
エピソードは端的に説明し、どのように対処したかに触れています。現在でもその短所は完全には消えないものの、強く意識を持っていることをアピールすることで「この人は短所をカバーしていける人だな」という印象を与えることができます。
長所の書き方でも言及しましたが、前提条件の説明に文字数を書け過ぎない事が内容を濃くするポイントです。
両面提示の法則で短所を加点に変える
心理学に両面提示の法則というものがあります。
ひとつの物事について判断するとき、悪いことと良いこと両方聞くと安心して良いと判断しやすくなるという法則
例えば、「このレストランおいしいよ!!とにかくおいしいから!!と良いことだけをアピールするのではなく、「このレストラン、少しお高めでなかなか予約も取れないんだけど、とにかくおいしいからおすすめだよ!」と言われると説得力がありますよね。短所もこれと同じなので、短所の項目を納得感のある形で書ければ、逆に良い印象を与えることが出来ます。
短所に対してどう対処したかをアピールする
短所だけではなく、その改善策も明確に示すことが重要です。自分自身がその短所を改善するために何をしているのかを具体的に説明することで、自分自身の改善意欲をアピールすることができます。
例えば、「コミュニケーション能力に課題があるが、読書を通じて自己表現力を高める努力をしている」というように、自己改善の取り組みを明確に示しましょう。
私の短所は短気なことです。返答がなかなか来ないと待てず、やきもきしてしまうこともあります。そこで、相手の気持ちに立って考えることを意識するようになりました。相手の置かれている状況を想像すると、時間がかかるのも仕方がないと思えるようになり、それ以降は相手の状況を鑑みて声をかけられるようになりました。
このように書けばただ短気なだけではなく、「それを自覚した上で相手のことを考える人なんだな」と思っていただくことができ、短所をプラスの印象として与えることができます。
短所を正直かつポジティブに表現する
正直でありながらポジティブに表現するためには、短所を否定的なものとして捉えるのではなく、自分自身の成長のための課題として捉えることが大切です。
例えば、「コミュニケーション能力に課題がある」という短所がある場合、「人と話すことが苦手だが、自分自身を高めるために積極的にコミュニケーションの機会を作るよう努力している」というように、自己肯定的で改善意欲を示した表現が適切です。
短所を具体的に説明する
短所を具体的に説明することで、相手に自分の弱点を理解してもらい、受け止めてもらいやすくなります。例えば、「集中力が欠ける」という短所を書く場合、どのような状況で集中力が切れるのか、どのような対策を試みているのかを具体的に記載することが重要です。
誠実さと自己評価のバランスをとる方法
最後に、短所を書く上で大切なのは、自分自身の誠実さと自己評価のバランスをとることです。短所を隠したり、ごまかしたりすることは避け、正直かつ客観的に自分の短所を表現することが重要です。ただし、あくまでもポジティブな言い回しを心がけ、短所を克服するためにどのような取り組みをしているか、改善のために何をしているかを示すことも忘れないでください。
例えば、「コミュニケーション能力に課題がある」という短所を書く場合、自分自身がコミュニケーション能力を改善するために、ビジネス書を読んだり、セミナーに参加したりしていることを具体的に示すことで、短所を克服するために積極的に取り組んでいるという姿勢をアピールできます。
以上のように、短所を正直かつポジティブに表現し、具体的に説明し、短所とその改善策を明確に示し、誠実さと自己評価のバランスをとることが、エントリーシートに限らず、転職活動において重要なポイントとなります。
エントリーシート(ES)で使える短所アイデア 短所が思い浮かばない方必見!
「自分の短所が昔から分からない」「減点されることが怖くて短所を挙げられない」こんな方は実は多いです。加点される短所を書くために、まずはどの短所について書くか方向性を決めていきましょう。
短所はその後、自分なりに対策していれば減点にはならない
まず、短所は必ずしも減点にはなりません。自分なりに対策したことを示せば問題ありませんので「こんな短所は絶対悪印象になるよね…」という考えは捨てましょう。
逆に、「私に短所はありません!」としたらどうでしょうか?それは本当に高評価でしょうか?答えはNOです。人間だれしも短所を持っているのはみんな分かっていることです。ですから、怖がらずに必ず短所を挙げてください。
短所はだいたい自分の性格に関することになる 長所や自己PRの逆を書くことも有効
短所は自分の性格を表すものです。素直に自分がどのような性格なのかを見つめてみましょう。長所や自己PRなどで自分の性格について言及していると思いますので、長所や自己PRと関連して考えるのも有効です。
短所のアイデア① 長所の逆を書いてみる
自分の長所が「粘り強い」だった場合、逆に言えば「諦めが悪い」が短所とも言えます。
私の短所は諦めが悪い事です。ですが、この短所は粘り強いという長所にもなります。
このようにすれば、短所を長所と言い換えることもできます。逆に長所の話題になったときには短所も関連して話すことができるので、面接時にも使いやすい短所になります。
長所についても悩んでいる方向けの記事もあります。
【転職・就職】エントリーシート(ES)で使える長所の選び方・書き方
短所のアイデア② 自己PRなどでアピールした内容と逆を書いてみる
自己PRも長所と同じく性格のポジティブな面にフォーカスしていると思います。長所と同じく、逆の内容を書くことが有効になります。今回は自己PRで「小さなことにも気づける」能力を挙げた場合を例とします。
私の短所は細かいことが気になってしまう性格なことです。ただ、場面が変われば「小さなことにも気づける」という能力でもあると感じており、バランスをうまく取って周囲に良い影響をもたらせるよう努めております。
細かいことを気にしてしまうことを認めつつも、それを場面によっては他の人のためを思いやる能力として使えることをアピールできています。自己PRの話になった際にも、説得力が増します。
短所から上手に繋がる魅力的な自己PRを書きたい方には、自己PRの解説記事もおすすめ
受かる自己PRの書き方 「しょぼいエピソードしかない」と思っている方にも例文付きで完全解説!
パクって使える!能力別の短所アイデア
そうはいっても短所が思いつかない方もいらっしゃると思います。短所で使えそうな例を挙げておきますので、「あ、自分はこの短所にあてはまるかも」と思った方はぜひパクってみてください。短所を強みにできるよう、逆説的な表現もあわせてあげていますので、一緒に使ってみてください。
- 細かいことを気にしてしまう→細かい気配りができる
- 自信過剰→自信を持って話すことができる
- おおざっぱだ→思い切りよく不安なことに立ち向かえる
- ミスが多い→ミスを恐れずチャレンジし続けることができる
- 子どもっぽいと言われる→周囲の雰囲気を一気に明るくすることができる
- つい言いすぎてしまう→言いづらいこともハッキリと言える
短所は言い換えれば長所になることもたくさんあります。短所は書き方を間違えなければ加点を狙えますので、思い切って狙っていきましょう。実際の書き方は後ほど解説しています。
短所が思いつかない方向け 過去の失敗談から短所を探し出す方法
それでもどうしても短所が思いつかない方向けに、過去の失敗談から短所を探す方法をご紹介します。過去の失敗談にはあなたの短所が関係しているはずです。その短所をどう対処したのかまで繋げられるように考えてみましょう。私がやってみる様子も書きますので、ぜひ一緒にやってみましょう。
①失敗談を2~3つ思い出してみる
たくさん失敗談を思い出せる方はたくさんあれば尚良いです。なかなか思い出せない方もいらっしゃると思うので、まずは2~3つ思い出してみましょう。
- 思い出し方の例
-
- 辛かった・しんどかったときの経験を思い出してみる その時どうやって打開した?
- 親や友人、先生などから叱られたときのこと
- 自分の中で強く後悔している失敗談
- 私が思い出したこと
-
- 失敗した時になかなか気持ちを切り替えられなくて、更に失敗を重ねてしまったっけ
- 友人に強く言いすぎてしまって関係が壊れてしまったことがあったっけ
- 提出物の期限を守れなくて、叱られたことがあったっけ
②失敗談の中にあるネガティブな要素を抜き出し、実際に行った対策を挙げる
失敗談 | ネガティブな要素 |
---|---|
失敗した時になかなか気持ちを切り替えられなくて、更に失敗を重ねてしまったっけ | 気持ちを切り替えられなかった |
友人に強く言いすぎてしまって関係が壊れてしまったことがあったっけ | 強く言いすぎてしまった |
提出物の期限を守れなくて、叱られたことがあったっけ | 手を付けるのがぎりぎりだった |
まずは失敗談から、自分の短所は何だったのかを抜き出していきます。次に、実際にその短所について行った対策を挙げます。
ネガティブな要素 | 行った対策 |
---|---|
気持ちを切り替えられなかった | 他の事に集中し、強制的に気持ちを切り替えた |
強く言いすぎてしまった | 相手の気持ちを考えて、反省した |
手を付けるのがぎりぎりだった | 課題にはまず2割ほど手をつけて、あたりを付けるようになった |
③今回志望する企業の性格に合いそうな対策を主観でいいのでひとつ選ぶ
短所について行った対策の中で、企業の性格に合いそうなものを一ひとつ選びましょう。
スピード感のあるベンチャー企業で代表も若い方の会社を受ける
→課題へまず2割ほど手を付けて、期限に間に合わせる対策が有効そう
先輩インタビューに「しんどいけどやりがいのある仕事」って書いてる。きっとコツコツ頑張る忍耐力が求められる→他の事に集中し、強制的に気持ちを切り替えた対策が有効そう
短所も長所と同じく、志望企業に合う物を選びましょう。そうすれば、短所をアピールポイントに変えることができます。
書いた短所はエージェントに確認してもらうのが大切
短所は企業の性格にあっているかどうかも大切です。例えば、少しのミスが文字通り命取りとなる医療の現場で「ミスが多い」という短所は敬遠されます。スピード感を重視するベンチャー企業において「のんびりしている」という短所を書いてしまうことも同様です。
どの企業にどの短所がいいかは、企業の性格を熟知するエージェントであれば的確に判断することができます。一度書いた短所はエージェントに確認してもらえば、ミスマッチを防げますので必ず確認してもらうようにしてください。